スイス山岳列車の旅
池田 光雅

定価: ¥ 1,680
販売価格: ¥ 1,680
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発売日: 2005-08
発売元: 東京書籍
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この本をチェックするような人には間違いなくお勧め
この本の紹介ページにたどり着くような人には、
間違いなくオススメです(笑)。
スイス旅行に行く前後で、この本から受ける印象は異なりますが、
旅行前にスイス鉄道の旅のイマジネーションを
膨らませるのに充分であり、旅行後はときどき本書を手に取り
思い出に浸っています。
路線ごとの記述がメインですが、車内や駅の雰囲気を伝えるページが
あると、なお良いと感じました。
憧れの鉄道旅行を楽しんで
勤続25年の特別休暇を取って、女房とのんびりスイスに行ってきました。女房はスイスが初めてなのでユングフラウ付近に3泊、ツェルマットに2泊しましたが、あとはこの本を見て憧れたサンモリッツ方面に5泊しました。ベルニナ線というのは氷河急行に比べると知名度が落ちるようですが、車窓の景色が雄大で忘れられません。
計画当初は情報不足で、団体旅行とあまり変わらないパターンになりかけたのですが、この本のお蔭で(オンライン時刻表でも研究しましたが)、まるでテレビでよく見る紀行番組のように、列車で移動する途中でぶらりと下車して、小さな村のなかを歩いてみたり、気に入ったレストランでお茶を飲んだりと、心に残る旅行ができました。私を前向きにさせてくれたのも、この本のイメージが強かったからです。
ただし、人気の氷河急行だけは避けました。この本の著者が前に出していた『永遠のスイス登山鉄道』で、ガラス張りの客車では自然な感覚が得られないと書いてあったからです。やはり、アルプスの鉄道旅行は窓を開けて新鮮な空気に触れ、じかにカメラを向ける方が断然素晴らしいです。今度の本のうしろの方にも、写真説明にそんなことが書いてありました。それにしても、スイスの緑あふれる自然のなかを走る列車は赤色が似合いますね。この本を買って、最初に女房が魅せられたのもその点でした。自分が実際に行ってくるとドイツ語の地名にも親しみが持てるので、帰国してからまたじっくり読み直して感動に浸っています。
文写真とも本当の実力
かなり前に『車窓の山旅・中央線から見える山々』という本があり、書いたのは日本山岳会に所属する国鉄の車掌さんで、そこを通る列車に何千回も乗務していました。それで分かるように、車窓の山々を紹介するには現場によほど精通していなくては無理で、まして海外ともなれば、付け焼刃の知識ではまず不可能です。また、いくらスイスを訪ねて鉄道に通じていても、山に関心が低い人にはやはり荷が重すぎます。
その点、この本を書いた池田さんはアルプスを中心にスイスに25年も通い続けているベテランで、過去に何冊ものスイス本を出していて記述は正確です(海外関係の本は、根拠の薄い思い込みや想像で書いた本が多いのです)。書き手の余裕は自然と行間ににじみ出てくるもので、さりげなく書いていても、豊富な体験に裏打ちされているので説得力があり、それが読者には安心感になり、躊躇せずに読み進めます。痒いところに手が届く記述は、何度かスイスに行った方なら、読んでいて「そう、そう」と思わず膝を叩いてしまうかもしれません。
車窓案内と聞くと解説調の文章を想像すると思いますが、全体がエッセー風で少しも退屈せず、出会った旅行者の様子や料理の話など、話題も豊富で読みやすく、著者の年輪を感じさせます。鉄道を離れて寄り道している個所も新鮮で、鉄道一本ヤリのマニアの本とは一味違います。
著者はプロの写真家ではないのですが、本職のカメラマンも顔負けする絶好のアングルで撮っていて、文章だけでなく撮影地(季節や時刻も)の選択も、やはり年季が要るものだと思います。スイスの鉄道の魅力はテレビでもよく流れますが、きちんと撮影地が分かる点では本にはかないません。青い空と氷河の峰々、赤いゼラニウムと緑の牧草地のコントラストが秀逸で、カラマツの紅葉もみごとです。こんな夢のような世界を見せられれば、誰しもスイスに行きたくなるはずです。