ハバナへの旅
レイナルド アレナス

定価: ¥ 2,310
販売価格: ¥ 2,310
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発売日: 2001-03
発売元: 現代企画室
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雪降る異国での孤独
本書は、キューバから米国へ亡命したゲイ作家アレナスによる中篇集。
三篇は、ニューヨークやキューバを舞台として語られる〈旅〉の物語で、
それぞれ時間軸を過去、現在、未来にさだめている。
キューバ革命、革命政府の同性愛者抑圧、マリエル港事件などの背景は、
アレナスの自叙伝『夜になるまえに』にある程度描かれており、
本書のまえに一読する読者は理解が一層深まるはず。
訳者・安藤哲行氏による巻末解説も、このあたりの事情を知るのに有益。
真の自由を求めて故郷を捨て、たどり着いた米国に生=性の愉悦はなく、
生地オリエンテ訛りのキューバ語のリズム、熱帯の官能的な夜の雰囲気、
そして濃密な人間関係ばかりを夢想してしまう。
ここに、いいようのないアレナスの孤独と絶望をみる。
異国で孤独感に苛まれながらエイズ罹患を知り、自らの死期を悟る異邦人。
本書は、アレナスが〈旅〉に託した切ない望郷のかたちなのだろう。
キューバの熱
私が好きなのは、リカルドとエバの一番初めの旅。次々と素晴らしい服を編んでいくエバ、“僕たちを見もしないでいる誰か”がいることを確信してやまないリカルド。美しく悲しく幻想的な真実。
キューバの熱は、行き場を無くしてそれで人々は火傷してる。
作者の想いも同じように行き場を無くし、書かれてもなお熱を発したまま。
病みつきになる小説
この本は3つの「旅」に関する短編から成っています。
「旅」と言っても単純な旅行ではなく、それぞれが、何かに憑かれたように終わりの見えない旅を続ける2人、夢とも現実ともつかない世紀を越えた旅、過去の自分へ戻る旅、とどれをとってもひと癖もふた癖もある内容です。冒頭部分から謎に満ちていて、読み始めるとその不思議な世界へ引き込まれずにはいられません。
また、読み返すたびに新たな発見があり、何度でも楽しめます。
もともとこの本を読んだきっかけは、「夜になる前に」という作者の自伝的小説を映画化した作品を見て興味を持ったからですが、物語の根底に流れる同性愛と故郷への強い郷愁は、やはり作者自身の経験が大きく影響しているのだと思いました。
「めくるめく世界」も読みましたが、私的にはこちらの方が断然お勧めです。