歴史を深く吸い込み、未来を想う―一九〇〇年への旅 アメリカの世紀、アジアの自尊
寺島 実郎

定価: ¥ 1,680
販売価格: ¥ 1,680
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発売日: 2002-11
発売元: 新潮社
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夏休にリラックスしながら読むのに最適な本でした
20世紀初頭、そこを生きた日本人、日本に関係のある著名人の生き様を探りながら、これからの日本のあるべき姿を求めるという内容の本である。新渡戸稲造、内村鑑三、野口英世、岡倉天心、マッカーサー、ガンディー、孫文、魯迅、周恩来といった人物が登場する。
60年代生まれのボクにとってはまさに歴史上の人物で教科書の黒字になっていたかどうかという記憶程度にしかなかった人物たちが、血も涙もある生身の人物として描かれていて、とても身近に感じられる思いがした。
総括の中で著者も述べているのだが、「グローバリゼーションに適応すること」こそ日本の進むべき道と信じがちである。そうあるべきだからでもなく、「資源のない日本はそれしかないから」で進められつつあるように感じる。果たして!そうなのだろうか、世界の潮流はそうなっているのだろうか、著者が感じている疑いをボクも深く感じるこのごろです。
信頼のおける国際感覚と時代認識
著者の寺島実郎氏は「事実を積み上げて論証する」ことを厭わない。
我が国のジャーナリズムのなかではとても稀有な存在といえる。
イラクをめぐる戦争が進行形のとき、邪悪なフセイン政権に対峙する
崇高な使命をもつアメリカという構図が描かれていくなか、寺島氏は
NHKの討論番組で、フセインの支援者は他ならぬ米国であったこと
を堂々と指摘していた。情報が完全にコントロールされていた当時の
言語空間において新鮮な空気をもたらした勇気ある発言であった。
この発言に対し、米国の戦争を支持する側にいた元外交官は軽薄さを
絵に描いたような笑いを浮かべ、話題を逸らすべく懸命になっていた
ことが印象に残っている。それは、信頼のおける論者とそうでない者
を見分けることが!できる一瞬であった。
本書は「国際社会における日本」に関わりの深い人物について、歴史
背景をふまえて省察し現在に通じる視点を呈示する。事実を探求する
囚われない姿勢、均衡ある国際感覚や泰然とした時代認識は得るところ
が大きい。
「尊大にも自虐にも流れない歴史認識の構築」が現代的課題であると
いう著者の態度は、マスコミにあふれる親米・反米などという浅薄な
レッテル張り争いとは無縁の、独立独歩の品格を感じさせる。